2014 筑駒中入試 理科 講評

2014/2/6

エクタス理科より筑駒

大問1「生物:動物」

 毎年出題される生物についての細かい実験観察問題です。単なる知識と捉える問題ではなく、その場できちんと観察し、考察させる問題です。ヒトのひじやひざが他の動物ではどこになるのか、という問題はよく出題される問題です。つま先からの関節の数で考えましょう。また、エゾシカやヒグマのあしの特徴は、あしの太さ(筋肉の付き方)、つま先の様子、歩き方などを図から読み取り、食べているものや生活の仕方から考えて答えを出すようにしましょう。


 


大問2「生物:土中の微生物」


 身のまわりの生物に関する実験、観察、飼育方法などに関する問題も筑駒らしい問題と言えます。今回は土中の微生物のはたらきに関する出題でした。すべて選びなさい、という出題形式も筑駒では定番です。すべての選択肢についてきちんと正誤を考えましょう。また、3のように図や表を与えずに実験問題を出題するのも筑駒の特徴の1つです。今回は必要ありませんが、自分で表をつくり情報を整理することを心がけましょう。


 


大問3「地学:総合問題」


 毎年出題されている地学の総合問題です。あきらくん、まさしくん、ひろしくんと名前が出てきたら間違いなく地学の総合問題だと思ってください。様々な場所へ出かけ、地学内容で気づいたことの会話のやりとりを読んで答える問題です。問うてくる内容は基本的なことなので、会話文の中から必要な条件をきちんとひろうようにしましょう。


 


大問4「化学:水溶液」


 水溶液や物質の性質、分類に関する問題は筑駒では毎年出題され、標準的な問題が多いのが特徴です。今回は問題文と表からABCすべてをすぐに見抜くことができるので、筑駒レベルの受験生であれば満点を狙いたいところです。3はひっかかってイを選ばないように注意しましょう。Cの水溶液中には反応によって固体の塩化アルミニウムが生じています。


 


大問5「化学:熱」


 標準的な熱に関する問題です。もののあたたまり方を正しく理解しているかを問うていて、2問とも確実に正解したい問題です。2007年にもほぼ同内容の問題が出題されています。


 


大問6「物理:てこ」


 筑駒が毎年出題するてこの問題です。ゲーム性の高い問題が出題されることが多いですが、今回は標準的な問題です。①~④までは左、右それぞれに回転するときにB、Cのどちらが支点になるかを間違えなければ確実に正解できる問題です。⑤⑥のように、求める数値を2カ所以上出題してくる問題も筑駒では時折見かけます。標準的な問題のように支点の場所を変えるだけでは解けない場合が多いです。今回は実験2、実験3の流れにのり、ルールを見つけて式を2本立てれば解くことができます。ゲーム性の高いてこの場合も言えることですが、ルールを見つけてその向こう側にある出題者の意図に気づくことが筑駒のてこを解くためには大切と言えます。


 


大問7「物理:電流(回路)」


 電流の問題も筑駒で毎年出題される問題です。特徴として、スイッチや導線を複数組み合わせた複雑な回路の問題です。解くために大切なことは、条件を変えたときに回路の全体図、豆電球の明るさが頭の中に浮かばない場合は必ずすべての組み合わせで回路を普段見慣れている形に書き換えることです。その上で表にまとめます。ただし、時間内に解ききるためには作業の効率化も必要です。今回の実験では1本のリード線を必ずEにつながなければ豆電球はつきません。このことに気づけば試さなくてはならない組み合わせを大きく減らすことができます。


「豆電球がつく配線」「ショートさせない配線」を頭に置いた上で配線をつくれば、正確にかつスピーディーに問題を解くことができます。


 


 


 


筑駒の生物は大きく分けて二つの問題からなると思われます。ひとつは徹底的に生物のつくりにこだわり、細かく一部分を拡大して考えさせていく問題。もうひとつは生物を題材にした実験を行い、多数の情報から必要なものだけを抜き出して加工していく問題。これらを確実に得点にしていくためにも過去問の研究が必要であると考えます。過去に出題された生物の問題のパターンから、モンシロチョウの学習をしたのであれば、そのモンシロチョウの体のつくりを徹底して調べる、またはモンシロチョウの生息数の求め方を考えるなど、多角的な学習が必要となるでしょう。


 化学の問題は水溶液についてのものが多く出題されています。これも大きく分けることができ、水溶液の分類であればパズル状のものや水溶液を答えるのでは無く水溶液の分類の仕方を答えるものになっているものがある。また、ものの溶け方の問題においては実数がでるわけではなく、さじですりきりいっぱいなどのように、解答に範囲がでてくるものがみられます。これらに対応するためには、具体的な数字がでることに満足しているような学習では無く、「範囲」を問うてくる問題に対応できるようにやはり過去問の研究をしていく必要があります。


 近年の地学分野の問題形式は、友人同士でキャンプへ行ったり、サイクリングに行ったりと出かけ先での会話文のものになっています。これにより、その内容は総合問題という形式をとります。外に出かけることにより、教室内では観察できないものからの出題も可能となっています。ですから、ここをただの基本的な総合問題のみと考えてはいけません。ここでは余計な失点をしないことが重要です。ほとんどの受験背は全員ほぼ満点で得点してきます。ここでの失点は取り返すことができないと考えるべきでしょう。また、今回のがけや夏の大三角のように写真による出題も多く見られることから、小学校教科書での写真は重要事項になると考えるべきです。国立ですから、学校の教科書をおろそかにするなとでもいっているようです。


 物理の問題では、近年、電流、てこのつりあい、あたたまりかたと三つの分野の出題がめだっています。あたたまり方の問題ではガラス、水、空気のあたたまり方についてそれぞれ考えさせる問題を出題したり、まめ電球の配線の問題では、複数の配線パターンを思考させて正しい配線を作り上げる問題を出題したり、てこのつり合いの問題ではルールをつくりゲームをさせる問題や、解答に範囲のある問題ととても骨太の問題が出題されています。いろいろな作業をしていくときに、いかにルールを理解し、それをもとにして動くことができるか。限られた時間の中でどのようにして解答にたどりつくか。これがこの分野での戦い方であると思います。


物理の範囲の問題は、筑駒の問題の中でも難易度が高く、つねに受験業界では話題になってしまいますが、ここで得点することも当然必要ですが、他の分野でいかに失点せずにここまでたどりつくかということを考えていかないことには合格はあり得ないと考えます。


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