寒い日が続いていましたが、今日は昨日の夜から今朝にかけて降った大雨の影響であたたかい一日となっています。気象観測140年史上もっともあたたかい12月の一日となっています。
今回の大雨とあたたかい一日は、最盛期を迎えたエルニーニョの影響が大きいといえます。エルニーニョ、ラニーニャ、どちらも受験生のみなさんは知っていますよね?南米のペルー沖の海水温が平年よりも高くなる現象をエルニーニョといい、その影響で冬の日本では西高東低の気圧配置が弱まり、更に南寄りのあたたかい風が流れ込むことによりあたたかい気候となることが多いです。強く寒い日があったり、雪が降ったり、ということは平年通りあったとしても、それらが長続きしないことが予測されるのが今年の日本の冬です。
さて、今年の女子学院中では、年間降水量と平均気温による植物群系(植物の棲み分け)に関する問題が出題されました。年間降水量と平均気温により、植物群系は、熱帯雨林、亜熱帯雨林、照葉樹林、夏緑樹林、針葉樹林、ツンドラ、砂漠、ステップ、サバンナ、雨緑樹林、硬葉樹林の11の群系に分類されます。これらの情報を縦軸が年間降水量、横軸が平均気温のグラフから読み取る問題でした。おもしろい問題を1問紹介したいと思います。
本文抜粋
水は、固体、液体、気体とすがたを変えながら地球をめぐっている。現在、地球温暖化によって地球上の氷は溶け、海水面が高くなってきていることが知られている。今から約1万8000年前は、地球の気温は現在よりも8℃低かったと推定されている。
このとき、地球の水の多くは ① せず、空気中の ② は少なくなり、地球全体の ③ 量は現在より少なかったと考えられる。
(①…蒸発、②…水蒸気、③…降水)
問 もしも地球全体の気温が今よりも8℃低くなったら、現在「年平均気温13℃、年間降水量1000mm」の場所では、どのような変化が起こるか、次のア~オから考えられる者を答えなさい。
みなさん、この問題はどのように考えますか?現在年平均気温が13℃の場所の気温が8℃低くなりますので、年平均気温が5℃の場所をグラフから読み取ります。
「年平均気温5℃、年間降水量1000mm」
の場所にある群系を読み取れば良いのでしょうか?
「問」の前の一行が誘導になっています。
「現在よりも気温が8℃低かった1万8000年前(「問」の条件に当てはまりますね)は、地球全体の降水量が現在よりも少なかった。」とあります。
もうわかりますね。
現在よりも気温が低いということは現在よりも降水量が少なかったと考えられます。したがって、
「年平均気温5℃、年間降水量1000mm」ではなく、
「年平均気温5℃、年間降水量1000mm以下(未満)」
の場所にある群系をすべて読み取ることが必要になります。
問題文に「すべて」と無いにも関わらず、複数の選択肢の中から正しいものをすべて答える女子学院らしい問題といえます。
この女子学院の問題のように、年間平均気温や月平均気温、日々の気温の積算数から様々な自然現象を考える問題の出題が近年の中学受験では多く見られます。
一つ例を紹介すると、「あたたかさの指数」というものがあります。
「あたたかさの指数」とは、各月の平均気温が5℃以上のときに、各月の平均気温から5を引いたものを指します。この指数の合計により植物の群系が決まります。平均気温が5℃以上の月の値だけを見ていくことに注意が必要です。また、温暖化により平均気温が○℃上昇した場合、というような問題の場合は、各月の平均気温に○を足したときに平均気温が5℃以上になる月が出てくる可能性が高い、ということも視野に入れなければ答えられません。このあたたかさの指数に関する問題は、近年だと海城や早稲田で出題されています。知っているか知らないかで解答への第一歩が異なると言えますね。
寒い日とあたたかい日が繰り返されることが今年の冬は予想されます。
どのような状況でもベストな状態で学習、受験ができるよう、服装にも気をつけて受験勉強に励んでください。
頑張れ!受験生!