2023年度の中学入試もひとまず落ち着きました。受験生の皆さんはお疲れ様でした。
今回はその中で豊島岡中の第1回入試大問5について取り上げます。
真ん中が一番高い5段の階段を左右にのぼり降りする問題です。Aさんは右はしからスタートし1段おきに動きます。BさんCさんDさんはスタートの場所は異なりますがそれぞれ1段ずつ動きます。このようなルールがひとつひとつていねいに書かれておりかなりの長文の問題になっています(1ページ丸々説明で使っています)。
(1)は左はしからスタートしたBさんがAさんと同じ場所にいる時間を調べる問題で書き出して規則を見つけることで比較的すんなり答えが求まります。
(2)は(1)とは逆にスタートの場所がわからないCさんが13秒後にAさんと同じ高さの異なる場所にいるようにするためのスタートの場所を探します。(1)と同じく13秒後からもどって書き出すことになります。ただし2通りの可能性を加味する必要があります。
(3)は少し難しくまずは問題の条件の意味を正しく理解できるかが鍵になります。問題文は次の様なものでした。

解説をするとこれも表の形で書き出すことで

ふたりとも8秒周期で動いています。
表を順に見ていったときAさんとDさんの高さが絶対にそろわないのは6秒後です(Aは5に対してBは123のどれかなので絶対に一致しない)。
従って8で割ると6余る数のうち100に最も近い数を求めれば良いことになります。
100÷8=12…4 より102が求める数です。
良く解らないからとりあえず書いてみようかな…というある種楽観的な動きからやってみると実は 部分のような言い換えを行えば良いことに気づいていく流れが重要です。
実はこの問題は新小5であれば単元内容的には解ききれる問題設定です。ですが実際のところ「易しい」という意見と「難しい」「意味がわからない」という意見に二分されます。
つまりは日頃から「解き方」「やり方」を覚えていてそれを学習と勘違いしているケース解決策が見えたときにそれを実行することしかできないケースなどの場合はどうしようもなくなってしまいます。
こういったことに陥らないようにするにはどうしたら良いでしょうか。
「マニュアルに書かれていることを正しく実行する」ことは大前提です。ですがこれが学習の目的になってはいけません。真に求められている能力は「マニュアルにない事態がおきたときに過去の経験を役立てて正しい判断ができるのか」なのです。日々の宿題演習に追われていると見失いやすいことですので新しい学年の始まりに再度意識をし直して正しい学習を継続していきましょう。
ちなみにこの問題に限らず長い文章を正しく読ませて理解判断を求める構成は増えています。武蔵中や桜蔭中の問題用紙が1枚増えたこともそういった要素を裏付けているのではないでしょうか。ショート動画が主流になりタイパという言葉がはやったりもしますがていねいな学習こそ本当の意味でのパフォーマンスの高さにつながると思います。
今年度も頑張りましょう!