『答案作成のコツ』

2016/9/9

知って得するマメ知識

 

 2学期に入り、小6の受験生は過去問を始める時期となりました。また、4,5年生もこれから少しずつ難しい文章にあたるようになり、記述力にも磨きをかける時期となります。


 記述力をつけるためには、何が必要でしょうか?というご質問をよく受けます。最難関校の国語入試問題は、最終的に記述問題の出来次第で大きく差がつくことは歴然としています。受験生はもちろん、保護者の方々も記述力を高めたいと考えるのは当然でしょう。


 一言で片づけるには難しい問題ですが、一般的には以下のようなことがよく言われます。


 


①語彙(ごい)を増やす=使える言葉の知識を増やし、表現力に磨きをかける。


②設問の意図をしっかり読み取り、作題者の「要求」に沿った答案を作ることを意識する。


③日頃から「書く」習慣を身に付け、書くことに対する苦手意識を払拭する。


 


さらに細かい点を挙げれば、「主語・述語がはっきりわかるように」「一文の長さが極端に長すぎたり短すぎたりしない」「係り受けのはっきりしない文にしない」「一字一字、丁寧に書く(雑に書かないよう心がける)」等々…


 


 授業で担当している生徒を見ても、個々に問題点があるので一律に「こうしなさい」と言うことはできません。ただ、多くの生徒に心当たりがあるのではないか、と思われることが一つあります。それは、句読点に対する意識が欠けている人が多い、ということです。


 


 一説によると、プロのライターや記者が書く文章には、一文の長さと句読点の使用数にルールがあるとのことです。一文の長さの平均は52.2文字、一文の中に出てくる読点の平均数は1.49個だそうです。つまり、一文の長さを50文字前後にし、その一文の中に12個読点が含まれているということになります。


 授業中に記述問題を添削していると、100字を大きく超えようかという超長文もよく見ます。また、(低学年にありがちですが)文節ごとに読点を打っていかにも読みにくくなっている文もあります。


 では、なぜそのような記述答案を作ってしまうのでしょう。いろいろな要素があるでしょうが、大きな一因として「読んでもらう」意識が欠けている人が多いのではないでしょうか。つまり、「書いた(書けた)こと」で安心してしまっているのではありませんか?


 言うまでもなく、テストの答案は採点者に「見てもらう」ために作成します。皆さんの中で、採点する人のことを考えて答案を書いている人がどのくらいいるでしょう。私も、通常授業はもちろん、各種テストでは全く知らない生徒の答案も採点します。(皆さんが受験するときは、当然皆さんのことを全く知らない先生に採点して頂くことになりますね。)採点者には、目の前にある答案以外にはその受験生のことを知る手掛かりは一切ありません。逆に言えば、皆さんは答案の書き方で「自分」を知ってもらうしかないのです。そのように考えれば、「とりあえず書いてやったよ!」というような答案ではダメなことがわかりますね。


 6年生であれば、ただ設問に対して答えるだけでなく、出題の意図を類推していくことも大切です。


 


「何を」「どのように」「どのくらい」書けばいいのだろう?


出題者は、どういう答えを要求しているのだろう?


なぜ、この部分を問題にしたのだろう?


 


 今まで受けたテストや、テキストで解いた文章(自分が書いた記述答案も)をもう一度読み直してみましょう。そして、一回解いたはずの問題にもう一度挑戦してみましょう。受験生であれば、上記のような設問の意図を考えながら、解き直してみましょう。初めて解いた時には気付かなかったことに、いろいろ気づくようになると思います。そのような訓練を、これから4ヶ月の間繰り返していくことをお勧めします。


 通常授業を受けている6年生であれば、過去問を解くように指示されているはずです。それを、ただ解きっ放しにすることなく、必ず振り返ることです。担当の先生に指摘されたことも踏まえて、必ず解き直しをする。これを繰り返していくうちに、本当の答案作成力が少しずつ定着していきます。


 


「記述の答案は、出題した先生に読んで頂くために書く。」


 


これから問題にあたっていく際は、この意識を頭の片隅において取り組んでください。


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