2022年度入試も無事に終わりました。2月からは学年が切り替わり、塾生の皆さんも新しい学習に取り組んでいることと思います。
さて、社会科の入試問題はいわゆる地理・歴史・公民の3分野に分けるのが一般的ですが、その応用として世の中でおこっているできごとを扱う「時事問題」が出されることは皆さんもご存じでしょう。最近はその年の出来事だけでなく、数年間にわたる世の中のさまざまな動きを題材にした出題(新型コロナウイルス関連はその典型例)も増えてきましたから、4年生や5年生にとっても他人事ではありません。机の上の勉強だけでなく、身の回りのこと・世の中の出来事に興味を持ち、考えることができる生徒を最難関中は求めていますので、遠い世界のことであっても「自分ごと」として考える姿勢がとても大切です。
一方で、出題形式や問われる知識・用語が変わっても、ほぼ毎年取り上げられるテーマというものもあります。例えば以下は雙葉中学校の直近10年間の入試問題に取り上げられたものです。
2013年:パレスチナ地域の紛争・地雷
2014年:第二次世界大戦・平和主義(憲法前文)・難民
2015年:平和を考え、守る動き(非核三原則・イラク戦争など)・日露戦争
2016年:日中戦争・冷戦
2017年:国際連合が行っている活動(PKO・UNHCR)
2018年:難民・第一次世界大戦・日中戦争
2019年:第二次世界大戦の前後に起こった出来事
2020年:核兵器・平和主義(憲法前文)・学童疎開
2021年:冷戦・平和主義(憲法9条)
2022年:国連安全保障理事会・満州事変から終戦までの出来事・ポツダム宣言
大問の文章まるまる1つが戦争に関するものであったり、選択肢問題の一部に出されたりと、出題の仕方はさまざまです。しかし、これを見ると「これまで日本や世界でおこった戦争を知ってほしい」「平和の大切さを理解してほしい」というメッセージを読み取ることができますね。入試問題を通じて学校が伝えたい「願い」であるとも言えるでしょう。
このように形を変えて継続的に取り上げられるものとしては、戦争以外にも環境問題や人権に関する問題などがあります。これらに共通しているのは、世界共通で取り組むべき問題であり、すぐには解決策が導き出せないということです。終わりがない問いから目を背けず、少しずつでも考え続ける練習を、受験勉強を通じて行っていきましょう。