2024年の私国立中学入試もほぼ終了しました。見事に第一志望校に合格した人もいれば、残念ながら涙をのんだ人もいるでしょう。入試も一つの勝負事ですから、「合格」「不合格」のどちらかの結果が出てきます。指導する側は、もちろん教えている生徒が100%第一志望校に合格してくれることが最大の望みですが、なかなか現実はそうはいきません。
中学入試で第一志望校はもちろん、受験校全てに合格するような生徒も毎年います。私がこれまで数十年指導してきても、必ず何人かは「全勝」を勝ち取ってくれています。では、そのような生徒たちの共通点は何だろう…?と、少し考えてみました。
何人か印象に残っている生徒たちを思い出してみると、以下のような点が挙げられます。
①知らないことをどんどん知りたいという知的好奇心が強い。
②難しい問題も途中で投げ出さず、わかるまでやり切れる。
③人に対して挨拶や返事がきちんとできる。
④記述答案の書き方が丁寧。(字が上手いか下手かではなく、「丁寧さ」。)
⑤わからないものを「わかったこと」にせず、必ず質問する。
⑥ちょっとした時間でも努力を惜しまない。
当然、と思うこともあれば、意外…と思うこともあるかもしれませんが、長年国語を指導してきた私の率直な感想です。
よく「天才だから合格できたんだ」などと言われる人もいますが、決してそうではありません。かの発明王エジソンが「天才=1%の才能+99%の努力」と言ったという逸話は有名ですね。
宿題を忘れたような生徒に「なぜ出来ていないのか?」とたずねると、圧倒的に多い「言い訳」は、「時間がありませんでした」です。
そんなとき、私は「時間は誰にでも1日24時間あるはずだよね?」と返します。「時間がない」のではなく、「時間を使っていない」だけなのです。
数十年前、筑駒・開成はじめ、7校受験して全勝し、ある私立中学からは「6年間全額無料にするから是非入学してほしい」と校長から電話もあった…という生徒がいました。塾での様子はというと、休み時間は友達と遊びやおしゃべりに夢中で、とても勉強している風ではありません。なのに、テストでは常に上位で、周囲からは「天才〇〇くん」などと言われていました。
そんな彼が、受験が終わり挨拶に来てくれた時、「これ、もう使わないから先生にあげます」と言って差し出してくれたのは、手垢で真っ黒になった単語帳が6冊でした。100円ショップなどでも見かける普通の単語帳に4教科のポイントを自分で書きこんだものでした。これをどう使っていたのかたずねると、電車やバスを待つ時間とか、朝起きたときと夜寝る前に1日10分は必ず見ると決めていたとのことでした。
誰から言われたわけでもなく、自分で「やろう」と決めて、人の目がないところで努力を惜しまず続けていたことを知り感心した覚えがあります。
すごい家庭教師にみっちり教わったわけでもなく、またいわゆる「ガリ勉」だったわけでもなく、自分で決めたことだけやり続ける。これが、ちょっとした時間の努力を惜しまない…ということだと思います。
新年度がスタートする今、「何のために自分は受験勉強するのか?」と自問自答してみてください。まさか「周りに勉強しろ、って言われるから…」などという人はいませんよね?そして、自分の目標を達成するために、「これだけはやり切ろう」という自分だけのルールを作っておきましょう。
一年の計は元旦にあり、と言われますが、今の時期が受験生にとっては「元旦」のようなものです。ここで心に刻んだことをやり通し、皆さんも受験を「全勝」で乗り切ってほしいと思います。