速さのいじわる問題です。

2015/10/3

エクタス算数科

「池の周りをAくんとBくんが同じ位置から反対方向に回ります。Aくんは、分速60m、分速120m、分速60m、…と速さを1分ごとに交互に変えて進みます。Bくんは一定の速さで進みます。Aくんが池の周りをちょうど8周したときにBくんが池の周りをちょうど9周してスタート地点で出会いました。このときを含めてスタートしてから2人は何回出会ったでしょうか。」

 

1周の長さもBくんの速さもわからないので手のつけようがないと感じる方も多いのではないでしょうか。もしAくんとBくんが最後に出会ったときが「2の倍数」分後であれば、算数が得意な生徒であれば、「速さが途中で変わったらつるかめ算か平均の速さ」と考えることができるかもしれません。Aくんが分速60mと分速120mで進んだ時間は同じなので、平均の速さは分速90mということになりますから、Bくんは分速80mだとわかりますね。それならば池の周りを8090の最小公倍数である720mにしてダイヤグラムを書き、交点の数を数えれば正解を出すことはできます。しかし、この問題では、AくんとBくんが最後に出会ったときが「2の倍数」分後であるかどうかはわからないので、この解き方は厳密に言えば正解とは言えません。

 

実はこの問題は、「出会う」という言葉の意味が問われています。この問題で「出会う」とは何か。「出会う」とは「2人合わせて1周分の距離を進む」ことなのです。そうですよね?この2人は最終的に合わせて17周分の距離を進んでいますから、出会う回数は17回です。

途中をどのような速さで進もうが関係ありません。

 

「出会う」という簡単な言葉でも、算数的にしっかり理解しているかどうかは意外に難しいものです。別の言葉を使って言い替えることができて初めて理解していると言えます。「わかったフリ」していませんか?

関連記事related posts

エクタス算数科

2の冪(べき)

2だけを何回かかけ合わせた積をまとめて2の冪(べき)といいます。1、2、4、8、16、32、64……などです。中学受験生であれば、2を2回かけることを「2の2乗(22と書きます)」ということも知っておいていいと思います。…

エクタス算数科

「おもしろい整数」に挑戦

2015年の駒場東邦中入試で,次のような問題が出されました。 2015のように各位の数字がすべて異なる整数を「おもしろい整数」とします。「おもしろい整数」ではない4けたの整数が最も長く連続するのは,(ア)から(イ)の(ウ…

エクタス算数科

河童先生の算数問題に挑戦! 13

それでは今回の問題です。     【問題】図は正方形で、Eは辺BCの中点です。 AE=10cmのとき、 正方形ABCDの面積を求めなさい。     (ヒント)三角形ABEをある場所…

新着記事latest posts

2024/12/5

エクタス理科より

2025年度中学入試 理科予想時事問題

今年度のニュースの中で、出題されそうなものを選びました。桜蔭中の過去問形式にしてみましたので、ぜひ挑戦してみてください。 ■以下の文の空らん①~⑱をうめなさい。 (1)2024年は暖冬の影響で、たくさんの( ① )が冬を…

エクタス理科より

2024/11/21

エクタス算数科

レピュニット

1、11、111、1111、11111……と各位に1が並ぶ数のことをレピュニットといいます。また、これらの中で素数である数のことをレピュニット素数といいます。 レピュニット素数を小さい順に探してみましょう。まず、1は素数…

エクタス算数科

2024/11/14

エクタス算数科開成中

2024年度入試から~開成算数~

2024年度の中学入試算数の中から、今回は開成中の入試について取り上げます。 開成中の入試は基本的なことがらを新しい視点で取り扱う、非常に面白くそして学びになる入試問題が多いことでも有名です(算数以外にも話題になった問題…

エクタス算数科開成中

pagetop