「池の周りをAくんとBくんが同じ位置から反対方向に回ります。Aくんは、分速60m、分速120m、分速60m、…と速さを1分ごとに交互に変えて進みます。Bくんは一定の速さで進みます。Aくんが池の周りをちょうど8周したときにBくんが池の周りをちょうど9周してスタート地点で出会いました。このときを含めてスタートしてから2人は何回出会ったでしょうか。」
1周の長さもBくんの速さもわからないので手のつけようがないと感じる方も多いのではないでしょうか。もしAくんとBくんが最後に出会ったときが「2の倍数」分後であれば、算数が得意な生徒であれば、「速さが途中で変わったらつるかめ算か平均の速さ」と考えることができるかもしれません。Aくんが分速60mと分速120mで進んだ時間は同じなので、平均の速さは分速90mということになりますから、Bくんは分速80mだとわかりますね。それならば池の周りを80と90の最小公倍数である720mにしてダイヤグラムを書き、交点の数を数えれば正解を出すことはできます。しかし、この問題では、AくんとBくんが最後に出会ったときが「2の倍数」分後であるかどうかはわからないので、この解き方は厳密に言えば正解とは言えません。
実はこの問題は、「出会う」という言葉の意味が問われています。この問題で「出会う」とは何か。「出会う」とは「2人合わせて1周分の距離を進む」ことなのです。そうですよね?この2人は最終的に合わせて17周分の距離を進んでいますから、出会う回数は17回です。
途中をどのような速さで進もうが関係ありません。
「出会う」という簡単な言葉でも、算数的にしっかり理解しているかどうかは意外に難しいものです。別の言葉を使って言い替えることができて初めて理解していると言えます。「わかったフリ」していませんか?