2013御三家の哲学④

2013/7/18

エクタス国語科より桜蔭中

 

本年度、桜蔭中の入試出題文から。


 


・生活が貧しければ、家の手伝いでもするのが筋。しかし、往時の少年達は昆虫や植物の採集という、実益を顧みぬことに熱中した。こんな純粋な探求心も、成長過程には必要だ。


                           (中島義道「孤独な少年の部屋」より)

 

・何の変哲もないありふれたひまわりや足形。そこには何も感じぬ。しかし、自分が盗んだひまわりのスクラップや、墨でとった自身の足形であれば、少なからぬ興奮を覚える。


                               (長薗安浩「あたらしい図鑑」より)

 


人間とは不思議なもの。自分と深い関わりのあることや興味・関心の赴くことなら、それが社会的にいかに評価されようとも、まっしぐらに突進していくことができる。逆に、どんなに「正しい」とされることでも、自身と直接の関わりが薄ければ、そこに価値を見出せない。


 


この点は、特に後輩を持つようになったり、何らかの世話係を任されたときに、心の隅に留めておく必要があるかもしれませんね。


 


“人は、あくまでも自身の関心事に正直に動く動物だ”、”等身大の相手を理解するためには、彼の行動原理の源ともいうべき動機に注視する必要がある”


のかもしれません。すると確かに、正論を前面に振りかざした教説や政治力などで、いつまでも人を動かせるはずがないことに気づくわけです。面倒見の立場に立ったら、とかく、傾聴をもって、相手が一番やりたいと思っていることを聞き出してあげたいものです。下手にフォローの手を差し伸べるより、可能な限り、やりたいことをやりやすいように条件を整える裏方役に徹したほうが、断然よい。自分も相手も楽しい。何より、お互いの可能性は伸びるし、成長も早い。


 


また、自身が社会から一旦、身を引いたときに、誰にも煩わされずに打ち込めるライフワークともいうべきものがみつかっていれば幸せでしょうね。少年時代の純粋な好奇心や興奮、わくわく感を味わうことで、人生に潤いと彩りが与えられるにちがいありません。定年退職後といわず、休日や退勤後のひと時を使って、何かを探してみたいものです。


 


「”正論”より”実感”」。


大事にしたい人生観の一つです。



関連記事related posts

エクタス国語科より

2023年 灘中 国語の入試問題を紹介します。

<1/14 1日目> 試験時間40分 満点80点 随筆文1題 記述2問 知識問題 解答形式 記述1~2行の枠 字数制限なし 大問1 随筆文 出典は牟田都子『文にあたる』からの出題でした。本が出版される前に内容の誤りを正し…

エクタス国語科より

「受験生」の読書

国語の問題で扱われる文章は、主に説明的文章と文学的文章で、これは昔から変わりません。けれどももう少し細かく、たとえば作者・筆者を調べていきますと、複数の学校で出題されている本は時代により変化があるようです。  …

エクタス国語科より武蔵中筑駒

『多勢に無勢』

「多勢に無勢」という言葉を知っていますか?相手の人数はとても多いのに比べ、自分たちはあまりにも少数なため、戦う前から勝ち目がない、というような意味です。戦国時代の合戦でも、○○軍の軍勢△△名に対し、××軍の軍勢は●●名……

新着記事latest posts

2025/4/21

お知らせピックアップ

渋谷教育学園幕張中 学校説明会 5/30開催!

Z会主催 エクタス協賛渋谷教育学園幕張中学校 学校説明会のご案内【参加無料】 5/30(金)に渋谷教育学園幕張中学校の学校説明会を開催いたします。同校は自調自考をモットーに生徒の成長を促し、海外大学も含め全国でも屈指の進…

お知らせピックアップ

2025/4/10

エクタス国語科より

『記述問題は後ろから考えよう』

学校でも新学年を迎え、入学式・始業式と行事が多かったことと思います。学校生活がようやく落ち着いたころにはすぐGW…でも、受験生にとっては「遊ぶ期間」ではなく「勉強漬けになる期間」かもしれませんね。 今年の開成中学の国語は…

エクタス国語科より

2025/4/9

お知らせピックアップ

小6「筑駒・御三家・駒東 最難関スーパー講座」【2025年度前期】申込受付中!

講座は土曜日午前を中心に設定、1科目から受講が可能です。受講生には担当講師のナビゲートにより個別カリキュラムを提案。 毎年筑駒・御三家・駒東中合格者を輩出するエクタスの看板講座。最難関校の入試傾向に直結する教科別講座を今…

お知らせピックアップ

pagetop