こんにちは。大宮校の宮下です。
今回は、前回の『六十三減算』に引き続き、これをさらに進化させた『百五減算』を紹介します。
西暦1743年に出版された【勘者御伽雙紙】は、上中下の3巻からなる算数や数学の問題とその解説を載せた本です。
(国会図書館のデジタルライブラリーで実物を閲覧できます。https://dl.ndl.go.jp/で【勘者御伽双紙】と検索。)
その上巻の目録の十九に「百五減といふ事」という問題があります。
原文は「たとへは七ツつゝ引時三ツあまるといひ 五ツつゝ引時一ツ余るといひ 三ツつゝ引時二ツあまるといふ時ハ 総数何程ととふ」とあり、算数の問題としての表記にすると「7で割ると3余り、5で割ると1余り、3で割ると2余る整数の中で最小のものを求めなさい。」となります。
この問題を次のように考えて答えを導いています。
この整数を□とすると、
□=7×▽+3 → 3と5の公倍数の内7で割ると1余る数は15なので両辺に15をかけると
→ □×15=105×▽+45
□=5×◇+1 → 3と7の公倍数の内5で割ると1余る数は21なので両辺に21をかけると
→ □×21=105×◇+21
□=3×☆+2 → 5と7の公倍数の内3で割ると1余る数は70なので両辺に70をかけると
→ □×70=210×☆+140
この3つの式をまとめると、
→ □×106=105×(▽+◇+☆×2)+206
左辺を105で割ると余りは□になるので、(□×106=□×105+□より)
右辺を105で割った余りが□になることがわかるので、
→ 206÷105=1余り101 で求める整数は101となる
という考え方です。
105で割る部分を、次々に105を引いていくという計算手法でその余りを求めています。
この設問自体は、現代の中学入試にも十分に通用しますから、300年近くたっても色あせない算数の魅力とも言えますね。