試験時間50分 満点85点
物語1題5問 説明文1題3問
解答形式 マス目 字数制限あり
大問1 物語文 出典は最上一平『銀のうさぎ』所収「糸」から。
主人公の拓也は、楽しみにしている遠足の日まで心配事がありました。拓也のズックはペシャンコになった貧相なズックでした。遠足の当日、拓也は母親にから白い糸でぬってあるズックを渡されたのにもかかわらず、母親に「カッコ悪い」と言ってしまいます。遠足の次の日、河原で同級生の和子に会います。拓也は和子の新しいズックをうっかり河原に流してしまいます。しかし、怒りもせず悪口も言わなかった和子。拓也は和子の顔が、いつもと違って見えました。はだしになった和子に、拓也は白い糸のほどけた自分のズックをはかせます。
問3では、「カッコ悪い」と言ったあとの拓也の心情の変化を50~70字で記述します。問5では、和子の顔がいつもとちがって見えた理由を、55~75字で記述します。「なぜだと考えられますか」と設問にある通り、心情は文章中に直接書かれていませんので、出来事や間接描写から推測して記述するほかありません。
拓也は「カッコ悪い」と言ったあと、母親の声がかすかに震えていたことから、拓也はうれしさを伝えたかったのに、逆に悲しませてしまったことを後悔するわけですね。そして、和子とのやり取りの中で感じた、拓也のねたみや罪悪感、和子への思いをどうやってとらえるか。拓也の心情を中心に、推測して読みとる物語文でした。
大問2 説明文 出典は山田玲司『非属の才能』から。
みかん栽培を生業としていた永田氏はある時、過酷な土地に植えられたみかんのほうが、肥沃な土地に植えられたみかんより甘くておいしいことに気づきます。それがきっかけでさまざまな農作物を逆転の発想で栽培する「永田農法」を生み出した永田氏は、まさに「非属の農夫」でした。もし永田氏が常識や伝統に従っていたら、おいしい農作物はできなかったでしょう。また、筆者の知り合いの漁師がみんな「魚が捕れない」といいます。環境問題が背景にあるものの、かつての漁場にはもはや魚はいないと考えるべきだろうと筆者は論じます。
問2では「定置網にはまり、そのなかでうさぎ跳びをしながら、出る杭に嫉妬している」とはどういうことか40~60字で記述します。問3では、どうして「かつて大量に魚が捕れた漁場」に向かってしまうのか、30~50字で記述します。この2つの設問では、比喩(たとえ)で書かれている表現を明らかにし、具体的な内容を説明します。
本質から離れた常識や伝統にとらわれ、集団の中でうまく立ち回ることだけにエネルギーを注いでしまうと、人生を好転させることは難しくなってしまう。また、時代が移り変わっていることに無自覚でいると、思考停止に陥ってしまう。比喩を使いながら、現代社会の問題を突いた説明文でした。
以上、お読みいただきありがとうございました。今後もさまざまな国語文章に触れ、学習に取り組んでいきましょう。(佐藤)