2022年開成中 国語の入試問題を紹介します。

2022/3/24

エクタス国語科より開成中

試験時間50分 満点85点 
物語1題6問 
解答形式 マス目 字数制限あり

物語文1題のみ 
開成で物語文1題のみの入試問題は2013年以来です。
出典は森沢明夫『おいしくて泣くとき』(2020年6月初版)から。12200字にもおよぶ超長文となりました。

中学三年生の心也は、登校すると、教室で自分の席の周りに数人のクラスメイト達が集まっているのを見かけます。嫌な予感を抱きながら近づいていくと、机には「偽善者のムスコ」と汚い文字で落書きされていたのです。心也が偽善者呼ばわりされるのは、父が「こども飯」サービスを始めた三年前ほど前からでした。怒りとやるせなさを抱えながら店に帰ります。
普段と変わらず陽気な父。熱々の焼うどん。深刻な顔をしている心也は、「こども飯」をやめないか父に問いかけます。父は「心也が不幸になるんだったら、俺は『こども飯』をやめるよ」と答えます。なんだよ。やめるのかよ。心也は自分からやめてほしいと言ったのに、いざ父が賛成したら、それにも不平を言いたくなって、むしろ胸の奥がもやもやします。腹立たしさから焼うどんを「まずかった」とぽつりと言ったら、父が吹き出します。「死んだ母ちゃんも、お前も、うそをつくのが下手すぎなんだよなあ」父の言葉に心也は肩の力がぬけて、鼻の奥が熱くなるのでした。

問4では、「偽善者のムスコ」という言葉から、心也がどのようなことに怒りを感じたのか50~65字で記述します。
問6では、「まずかった」と言った時の心也の気持ちを、60~75字で記述します。

「偽善者のムスコ」という言葉から、ムスコは心也であるだけで、ここでの偽善者とは父のことを指します。心也は自分のことではなく、信念をもって食堂をやっている父がさらし者になるような落書きをされたことに怒りを感じたのですね。
心也が店で父に出された焼うどん。にんにくとバター、しょうゆの香りのする湯気が立ちのぼり、かつおぶしが揺れ動いていて、とてもおいしそうです。しかし、この焼うどんを心也は「まずかった」と言います。これは「こども飯」をやめてほしいという思いと、続けてほしいという思いが入り混じり、父は自分の思いをわかってくれていると思いつつも、いかにも見透かしているといった口ぶりなのが少し腹立たしく、皮肉でも言わないと気が済まなかったのです。
「偽善者」と一方的に非難・中傷された心也の怒り、父の「こども飯」にかける思いと信念が描かれていますが、そのなかで子が親を思い、親が子を思うという、家族の絆を強く感じさせてくれる物語文でした。

以上、お読みいただきありがとうございました。今後もさまざまな国語文章に触れ、学習に取り組んでいきましょう。(佐藤)

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