肌寒い日や少しあたたかい日が繰り返され、秋も深まり冬が近づいてきていますね。受験生のみなさんは日々の課題や模試、過去問などで忙しい日々を過ごしていると思います。
さて、今年の武蔵中の大問2ではコウモリ(ほ乳類)とバッタ(昆虫)の育ち方に関する問題が出題されました。卵→胎児→幼体→成体と成長するか、卵→幼虫→成虫と成長するかの違いを問う問題です。一般的にほ乳類の成体に対する卵の大きさは、他の動物の成体に対する卵の大きさよりも小さいです。これは過去の武蔵中でも出題されています。そのときの問題はヒトとニワトリの卵の大きさについて、成長の仕方を踏まえて説明しなさい、というものでした。ニワトリは卵が産み落とされると卵の中の栄養を使って幼体まで育ちます。卵の中にはある程度育つための栄養が大量に必要となります。そのために大きい卵が必要になりますね。ヒトは受精卵を母親の子宮内で育てます。受精卵は子宮内でへその緒と胎盤を通じて母親から栄養をもらって育ちます。卵に蓄えなければならない栄養は最小限で済みます。そのため、ヒトの卵は小さくても良いということになります。共通点としては卵よりも幼体、幼体よりも成体の方が大きいということですね。
逆に、卵や幼体のときの方が成体のときよりも大きくなる動物もいます。今回はそのような動物を照会します。
南米に生息する「アベコベガエル」というカエルがいます。名前の通りあべこべで、幼体(オタマジャクシ)のときの方が成体(カエル)のときよりも大きいカエルです。オタマジャクシのときの体長は20cm前後ですが、カエルになると6cm前後になります。オタマジャクシからカエルへ変態するときに尾が短くなることを踏まえても、この体の大きさの変化は他の動物とは異なりますね。体重も軽くなります。なぜこのように体の大きさが変化するかはまだわかっていません。
今書いたように一般的に他の種類のオタマジャクシがカエルに変態する際、尾が短くなりますから一時的に小さくなると考えることもできますが、尾はなくなるのではなく体へ吸収されるので普通体重は減少しません。ですので、他のカエルは小さくなるという表現は適さないと考えると、アベコベガエルの体の大きさの変化はやはり特殊なものといえます。
体重の変化でいうと、完全変態の昆虫はさなぎから羽化して成虫になるときに、さなぎの殻を脱ぐ、飛ぶために羽を乾かす、という理由から、さなぎのときよりも体重が軽くなります。ただし、多くの昆虫が折りたたまれた体を伸ばす、大きな羽を伸ばすということをしますので、体長は大きくなるといえます。
体重の変化でもう一ついうと、羽が生え換わって親鳥になる直前のペンギンの幼鳥は、たくさん食べて皮下脂肪を蓄えるので、親鳥よりも体重が重くなることが一般的です。しかし、体重は重くなりますが、やはり親鳥の方が体長は大きいのでこちらも体重のみの一時的な変化であると言えます。
このように例を挙げて考えていくと、幼体から成体になるときに体長も体重も減少するアベコベガエルはかなり特別に進化した動物であると言えますね。
成長とは体を大きくするだけではなく、自分の可能性を広げていくことです。今している中学受験のための学習が、みなさんの将来の可能性を広げることにつながります。自分の可能性を広げるためにも、日々の学習に意欲的に取り組んでください。
頑張れ!受験生!