1 江ノ島を題材にした明治時代までの歴史の基本問題
2 朝鮮半島をテーマにした近現代史と公民の融合問題
3 日本各地の温泉を題材にした地理の総合問題
昨年に続き大問3題の構成,小問数も63で例年とさほど変わりありません。そして難易度も例年並みで,基本知識をオーソドックスに問う出題がほとんどでした。そのため,合格者平均が70点満点中62.0点(学校発表)という非常にハイレベルな戦いとなりました。特に1・2は全問正解でなければ厳しい勝負になったと思われます。
1では明治時代までの歴史について,ほぼ一問一答式に出題されるパターンで,基本事項をしっかりと漢字で書ければ満点がとれる内容です。問2の源義仲,問3の屋島の戦い,問11(1)の旅順は,一般的な中学入試のテキストでいえば発展レベルの用語ですが,開成志望者なら確実に答えなくてはならない問題です。
2は大正時代以降の歴史を中心に構成された問題でした。問4は,冷戦時代の社会主義陣営に属していない国を選ぶものですが,サミット(主要国首脳会議)のメンバーなどから考えれば答えを導き出すのは容易です。ちなみに公民分野からの出題は,問7の国際連合に関する出題と,問9の日本国憲法9条の穴埋め問題だけで,いずれも平易なレベルでした。
3では,開成中特有の表やグラフを用いた出題がいくつかあり,ここを確実に得点できたかどうかが合否を分けた印象です。問4は,日本の木材供給量と人工造林面積のグラフを読み取る問題でした。このタイプの出題では,グラフから「数値」を読み取るのか,「割合」を読み取るのか注意しながら選択肢を吟味していくことが大切です。問9では,和歌山・兵庫・愛媛3県の第一次産業人口の割合,人口増減率,昼夜間人口比を示す表を見て,それぞれの県名を答える問題でした。各県の第一次産業のようすや大都市圏との位置関係などを考えながら推理していく力が求められています。問10も同様で,和歌山・静岡・大分の3県の製造品出荷額割合の円グラフを見分ける出題ですが,和歌山市と大分市では鉄鋼業がさかんであることさえ知っていれば解けるレベルでした。問16では2年連続でイスラム教の禁忌について出題されています。問18も典型的な雨温図の識別問題で,北海道・秋田・新潟・熊本の4択というのが少しトリッキーですが,一つずつ吟味していけばさほど難しくはありません。
こうして見ていくと,至って易しい問題であるがゆえにミスは許されず,受験生は満点を狙う覚悟で臨むことが必須です。基本的な知識は確実に定着させるとともに,幅広い知識に目を向けることによって,失点を最小限に抑える学習が必要になると思います。