「2012年は天体ショーの当たり年」と言われ、金環日食、金星の日面通過、金星食などの様々な珍しい天体ショーが観測されました。実際、これらの天体ショーは、開成中(金星食)、桜蔭(金星の日面通過)といった御三家をはじめ、数多くの中学校で「理科の入試問題」として取り上げられました。このように天体に関する時事問題が入試問題で多く取り上げられることは昨年に限ったことではありません。これまでも、日食、月食や惑星の日面通過などは多くの学校で入試問題として出題されていますし、天体以外の時事問題(その年に話題になったこと)も理科の入試問題では出題されます。そして、取り上げられる時事問題の数や時事問題を出題する中学校の数は年々増加しています。塾で習うプリントやテキストの内容はもちろんですが、11月頃まで話題になった理系のニュースや現象にも目を向けることが大切といえます。
さて、2013年の天体ショーです。今年は何といっても「彗星」ですね。3月には「パンスターズ彗星」が太陽に接近しました。11月の下旬から12月の上旬にかけては、「アイソン彗星」が太陽に接近し、過去50年間でもっとも明るく彗星を見ることができるのではないのか、と言われています。あと一週間です、楽しみですね。
太陽系の天体には、自ら光る太陽のような「恒星」、地球や火星、木星のように恒星のまわりをほぼ円軌道で公転している「惑星」、月などのように惑星のまわりを公転している「衛星」などがあります(この他にも準惑星や小惑星などがあります)が、彗星はどのような天体なのでしょうか。
太陽系の太陽、惑星、準惑星以外の天体を太陽系小天体といいます。その中で、主に氷やちりでできていて、太陽に近づくと太陽のエネルギーで氷が溶けたものが一時的な大気のようになり(コマといいます)、コマの一部が放出されて尾を引いているものを彗星といいます。このとき、尾はコマが太陽からの光圧によって押されてできるものなので、必ず太陽の反対側にできます。
また、惑星は太陽を中心として公転軌道が円であることに対し、彗星は公転軌道が楕円や双曲線(反比例のグラフです。)、放物線(2次関数(2乗に比例)のグラフです。少し難しいですね。)であります。このうち、公転軌道が楕円であるものを周期彗星といい、太陽のまわりを数年~数百年かけて周回しています。ハレー彗星などが周期彗星に分類されます。ハレー彗星は周期が約76年で、前回は1986年に太陽に接近していますので、次は2061年に接近すると考えられます。みなさんが60歳くらいになる頃に観測できるかもしれません。一方、パンスターズ彗星やアイソン彗星は、公転軌道が双曲線や放物線である非周期彗星に分類されます。非周期彗星は二度と戻ってこないか何らかの変動が起こって戻ってきたとしても数十万年以上先だと考えられていますので、今回を見逃すともう二度と見られないと言えるでしょう。
太陽系の外から来る彗星も多いので私たちの知らない何かを運んでくるかもしれません。行く先が太陽系の外であれば、太陽から離れたあとどうなってしまうのかわかりません。でも、わからないからこそ、彗星は無限の可能性を秘めていると言えるでしょう。
無限の可能性を秘め、70日後の入試に向かって努力を続けているみなさん、少しだけ夜空を見上げてみて下さい。尾を引く彗星に無限の可能性を感じながら、本格的なラストスパートをかけていきましょう。
頑張れ!受験生!