もうすぐ2学期。6年生は入試に向けて本格的な対策が始まるでしょうし、5年生は歴史の学習が始まるお子さまも多いのではないでしょうか。
今回から、何回かに分けて歴史を学習する時のちょっとした考え方を述べたいと思います。保護者の皆様にはお子さまの学習の参考にしていただければと思います。
多くの中学受験を目指すお子さまは5年生の時から歴史を学習します。小学校では6年生になってから始まるので、実質生まれて初めての歴史学習を塾などで始めるわけです。しかも、小学校で学習する歴史とは比較できないほど細かく進めていきます。
そうした歴史学習に備えて、多くのご家庭ではあらかじめ様々な予備知識や、興味を持たせるためのアプローチを行っているようです。「歴史マンガ」を読ませたり、テレビゲームなどで歴史に関するソフトで遊んだり…。こうした試みはいいことだと思いますし、今後もぜひ継続していただきたいことでもあります。
ただ、忘れてもらっては困るのは、お子さまが学習している大きな目的は入試問題を解けるようにすることであり、志望校に合格するための学習だということです。
興味を持つことが呼び水になって、実力をつけていくお子さまもいれば、興味のある部分しか身につかないお子さまもいます。また,マニアックな内容など枝葉末節についてのみ興味を示すお子さまもいます。
歴史の学習を始めるにあたって、まず次にあげる2点を考えてみてください。
1 中学入試では「戦国時代」はあまり細かく出題されない!
2 異説・新説に振り回されない!耳を貸さない!
ほとんどのお子さま(特に男子)は、戦国武将から歴史に興味を持つ、ロマンを感じることが多いようです。でも、残念ながら戦国武将を始め、戦国時代の細かい内容はほとんど出題されません。したがって、この時代に興味をもって歴史の扉を開けるのはいいのですが、そこで終わってしまっては得点には結びつきません。
最近、テレビや書籍などで『○○はいなかった!』『実は××は間違いだった』『教科書にはない△△』などが目につきませんか。
我々大人は、歴史の初等教育(学校単位では小・中学校時代)は終えています。ですから、学生時代に学習したことに対して、今はこういう考え方もあるのかと興味を持てるわけです。しかし、お子さまは初めて歴史を学習する段階です。いわゆる定説といわれている内容を学習していきます。定説が身につく前に異説を吸収するとどうなるか…。想像がつくと思います。
では、異説は一切だめなのでしょうか。
現在の歴史学習と、15年、20年前ぐらいの歴史学習とはかなり違ってきています。入試問題にも変化があります。
皆さんもご存知だと思いますが、「いい国つくろう鎌倉幕府」で有名な「1192年に鎌倉幕府が開かれました」は、学校の教科書でもはっきりとは書かれなくなっています。
地理はしょっちゅうデータが変わったり、状況が変わったりしますが、歴史でも変化はあるのです。奈良の正倉院の構造についても、保護者の皆様が学習した時とは見解が変わってきています。
次回は、これらの定説になりつつある歴史をいくつかあげ、また、入試問題も昔とどう変わってきているのかを「暗記」というキーワードを使って述べてみたいと思います。