算数よもやまばなし

2020/4/3

エクタス算数科

こんにちは。大宮校の宮下です。

今回は、『六十三減算』を紹介します。

西暦1743年に出版された【勘者御伽雙紙】は、上中下の3巻からなる算数や数学の問題とその解説を載せた本です。

(国会図書館のデジタルライブラリーで実物を閲覧できます。https://dl.ndl.go.jp/で【勘者御伽双紙】と検索。)

その上巻の目録の二十一に「又六十三減乃事」という問題があります。

「たとえば七ずつ引くときは三余り、九ずつ引くときは五余るといふとき、答総数五十九」

とあり、算数の問題としての表記にすると「7で割ると3余り、9で割ると5余る整数の中で最小のものを求めなさい。」となります。

この問題を次のように考えて答えを導いています。

この整数を□とすると、

□=7×▽+3 → 9の倍数の内7で割ると1余る数は36なので両辺に36をかけると

          → □×36=252×▽+108

□=9×◇+5 → 7の倍数の内9で割ると1余る数は28なので両辺に28をかけると

          → □×28=252×◇+140

この2つの式をまとめると、

          → □×64=252×(▽+◇)+248

左辺を63で割ると余りは□になるので、(□×64=□×63+□より)

右辺を63で割った余りが□になることがわかるので、(252=63×4より)

          → 248÷63=3余り59 で求める整数は59となる

という考え方です。

もちろんこの問題は、7と9の公倍数に4不足する数なので

63-4=59 と求めたほうが早いと思いますが、余りも不足もそろわない問題では、利用することができます。

例えば、「7で割ると2余り、9で割ると6余る整数の中で最小のものを求めなさい。」であれば、

2×36+6×28=240  240÷63=3余り51 で答えは51になります。

次回は、これをさらに進化させた『百五減算』を紹介します。

関連記事related posts

エクタス算数科

パズル問題の解答:後編

  A=15の場合,図3のようになります。D,E,Iに入る数字を考えます。D+E=38-(14+4)=20,E+I=38-10=28となります。この条件を満たす数の組み合わせは,すでに書かれている数と重複するも…

エクタス算数科

【見方を変えて気づくこと】

受験生の皆さんは過去問演習も本格的に始まり、日々の学習に熱の入っている時期になりましたね。結果を出すためには、ミスしそうな場所を正しく認識した上で正解にたどり着く必要があります。ミスしそうなところに気づく力は、たくさんの…

エクタス算数科

本屋さんへ行こう

「算数が得意になるにはどうしたらよいですか?」と聞かれることがあります。そのとき私は、「算数と触れあえる機会をたくさん作れるといいですね。」と答えます。 すると、多くの方は、(たくさん問題を解かなければいけないんだな)と…

新着記事latest posts

2024/5/6

お知らせ

池袋校が移転開校しました

エクタス池袋校は、5/6(月・祝)よりリニューアルオープンしました。 池袋駅東口から徒歩2分、WACCA池袋の向かいにある1Fがファミリーマートのビルの9階です。 新しい池袋校にはグループ指導教室が6教室。どの教室も10…

お知らせ

2024/4/25

お知らせピックアップ

【小1~3】試行(思考)力・記述力 診断テスト 申込受付中

低学年の現段階で求められる力を診断 筑駒・御三家・駒東中を目指す上で必要となる、与えられた未知の課題を試行錯誤して正解を導き出す「試行力」、考えた答えを書き言葉で表現するための「記述力」。最難関中学受験専門塾だから可能な…

お知らせピックアップ

2024/4/18

エクタス理科より

身近な太陽

2024年4月9日に皆既日食が観測されました。 といっても、日本ではなく北米(メキシコ、アメリカ、カナダ。現地時間で言うと8日午後)でのできごとです。 皆既日食は頻繁に起こるものではなく、かつ時間も短いので、いろいろな分…

エクタス理科より

pagetop