地図を見たり、地図の問題を解くことが好きな子嫌いな子、けっこう分かれます。きちんと統計をとったわけではありませんが、現場で指導している実感としては男子よりも女子が苦手意識をもってしまうことが多いようです。
今回から2回に分けて、入試問題での「地図」についてお話ししたいと思います。一口に地図といっても、等高線や地図記号などが書きこまれている「地形図」であったり、平野や河川などが書きこまれている「略地図(白地図)」、最近の問題では航空写真を利用した地図なども出題されています。
ここでは「地形図」と「略地図」について入試ではどのように扱われているか、またはどういった意識で学習に臨むべきかなどの話を進めていきます。
まず始めに「地形図」ですが、最近は印刷技術の進歩なのか紙の上質化のためかわかりませんが、細かい地形図の出題が増えています。学校によっては割と厚みのある紙で、カラー印刷されている問題になっているところもあります。
基本的な問題としては、地図記号や方位、縮尺などを理解しているかどうかの問題。これはレベルとしては小4で学習する内容です。こういった各問に加え、地形図上の内容についての正誤判定問題なども頻出内容です。これらはオーソドックスな問題ですので絶対失点をしてはいけません。
難関校では、もう少し凝った難しい問題も出題されます。たとえば、実際の風景写真が示され、写真を撮ったと思われる方向を地形図から選ぶ問題。これは建物や都市部での写真ならばそんなに難しくはありません。でも、山間部の渓谷などが出題されると、地形図の等高線や地図記号などから実際の風景を読み取れないと答えられないと思います。
また、山間部の地形図が示され、仮にある一点にダムを造ったとして、水が貯まる範囲を書きこませる問題。これは等高線の本数を読み取るような単純なことでは答えられません。水が貯まる範囲ですから、まず尾根を探します。そしてそれぞれの尾根の高さを考えつつ、一番高い範囲の尾根を結んでいくことで答えにたどりつきます。
もうひとつ例をあげると、時代の異なった地形図が並べられ、それぞれの違いを説明させたり、時代を経るにしたがって発展していった町並みの原因を答えさせたりする問題。たとえば、高速道路が開通していることに気づき、それを発展の原因と読み取れるかどうか。
実際の地形図を載せて説明すればわかりやすいのですが、ご容赦ください。
こういった出題に対しては、記号などを覚えたり、多くの問題に触れることが大切ですが、明確な目的意識をもつことも忘れてはなりません。
それは、二次元の地形図から三次元をイメージできるようにすること。特に高さに関わってくる部分に関しては意識を持たせてください。等高線を見て谷と尾根の区別がつくかどうか。河川の流れる方向(高いところから低いところ)を読み取れるか。高さは等高線だけではありません。水準点や三角点からもわかります。それらを組み合わせて高低差をつかめるかどうか。でこぼこという意味では、河川に近いところにできる河岸段丘が見えるか。崖があるところの高低差がわかるかどうか。
このように、平面である地形図に高さをイメージできるかどうかが難関校入試レベルでは一番大きな目的と言ってもいいでしょう。
次回は「略地図(白地図)」についてお話しします。