こんにちは、エクタスの荒井です。
前回は低学年の最上位生を対象とした、算数の授業でのコーチングについて紹介させていただきました。保護者の方から多くの感想をいただき驚いています。エクタスの低学年算数について「算数の授業で行き詰った際に少しだけヒントを出す」と説明される場面もありますが、エクタスの教室で実際に行われていることは、コーチングという表現が最も近いと思います。コーチングには発問と適切なフォロー、フィードバック等が含まれますが、今回はコーチングの発問内容ではなく、フォローとフィードバック等について書かせていただこうと思います。発問については前回書かせていただきまし記事(こちら)をご参照いただければ幸いです。
エクタス低学年クラスでは、教えない算数の授業をしています。思考力を養うハイレベルな教材を使用しています。4回の授業のうち1回は入試の過去問を扱います。筑駒・御三家・駒東などの入試問題の1題を、約10枚のプリントに分解して、スモールステップで予備知識なしで問題に向き合います。教えない算数とは、教師が何もせず、見守るだけの算数授業という意味ではありません。ティーチングを最小限にして、自ら考える力を養います。思考力を鍛えるために生徒への問いかけ(発問)や、(アクティブリスニングを含む)フォロー、フィードバック等を行う場面があります。発問、フォロー、フィードバックの3点は教育分野でのコーチングと呼ばれることがよくあります。算数授業でのコーチングは一人ひとりの状況に応じて、個々に行われます。
現在、スポーツやビジネスはもとより、教育の分野でもコーチングが広く取り入れられています。エクタス低学年クラスでは教育分野のコーチングが注目されるよりも前から、同様の取り組みがなされていました。
先日、小学校2年生の通常授業で麻布中学の入試問題を、3年生のクラスでは桜蔭中学の入試問題演習を行いました。予備知識なして問題に向き合います。
問題はスモールステップに分解されていますが、それでも手が動かない時もあります。
「分けて考えてみましょう。どのように分けたらよいと思いますか」
と授業で問いかけると、生徒は真剣に考え始めます。頭の中でアイデアが浮かんでいるのがわかりますが、まだ言葉にできていません。その時、アクティブリスニングを通じて彼らの思考を支援します。
生徒は興味津々といった表情で考え込んでいます。算数を楽しんでいるように見えます。そしてまた新しいアイデアが浮かんできそうです。教師は彼らの考えを引き出すために、さらなるフォローアップ質問をする準備をしています。
ここで発問に対するフォローとして情報整理のアドバイスをすることがあります。
一例として先日は、小学2年生の通常クラスで樹形図に整理して考える方法をアドバイスしました。3年の終了時までに、自分で素早く図や表が書け、条件を整理することができるようになる程度まで、図表を使いこなせるようになって欲しいです。
授業内でのそれぞれの行動が生徒の思考力を深めるきっかけとなります。彼らが自分自身で問題を分析し、解決策を見つける過程で、自信や創造性を養うことができるのです。教師は生徒の考えを尊重し、彼らが自ら考える力を育む環境を提供することで、真の学びを促していきます。そして算数を楽しんでほしいです。
このように、生徒は自ら考える力を鍛えながら問題を解決していきます。教師は生徒に寄り添いながら、必要なフォローやフィードバックを行います。生徒の手が動かない時や行き詰まった時には、適切な質問を投げかけたり、アドバイスを与えたりします。
フィードバックは生徒の成長を促進し、学習を深めるために重要な要素です。
生徒たちに対するフィードバックは個別に行われます。教師は彼らの個別の課題や進捗状況を把握し、適切なアドバイスや補強を行います。生徒が自信を持って取り組めるように、ポジティブなフィードバックや励ましの言葉も重要な要素です。生徒が成果を実感し、楽しんで次のステップに進むための自信を育むことも大切です。
生徒が問題を解く過程で間違いや誤解があった場合、教師は適切なタイミングでそれを指摘します。しかし、ただ間違いを指摘するだけではなく、なぜそれが間違いだったのか、どのような観点を見落としてしまったのかを生徒に理解させることが大切です。
また、生徒が正しい解答を導き出した場合でも、フィードバックは続きます。その解答がどのような意味を持つのか、なぜその方法が有効なのかを深く理解させることも重要です。教師は生徒に対して
「なぜその方法を選んだのか」
「他の方法と比べてどう優れているのか」
などの質問を投げかけます。これにより、
生徒は自らの思考を振り返り、自信を持って解答することができるようになります。
解法やアプローチの妥当性を評価する機会も設けています。正しい答えが出た場合でも、なぜその答えが妥当であるのかを尋ねることで、生徒たちは自身の解法の妥当性を確認することができます。また、異なるアプローチや解法がある場合には、その解法の長所や短所を比較検討し、より良い解法を見つけるように促します。将来の入試では時間が限られていますから、解法の評価は大切です。
さらに、教師と議論する機会もあります。アイデア交換は視点を広げ、新たな発見を促すことができます。教師は生徒の行動を観察し、適切なタイミングでフィードバックやアドバイスを行います。彼らの議論や発言に対しては、適切な質問を投げかけることで彼らの思考を深め、より高いレベルの理解を促します。そして、高いレベルの理解を得た生徒の表情は、非常に晴れやかです。
エクタスでは、低学年算数の授業を通じて、彼らの思考力や問題解決能力を伸ばしています。生徒たちは自ら考え、自己解決する力を身につけることで、算数以外の様々な課題にも積極的に取り組むことができるでしょう。毎週のカリキュラムが決まっている高学年では十分に余裕ある時間が取れません。中学受験生ならば、これらのアプローチは低学年でしか体験できないものです。
生徒の皆さまが算数を通じて自らの可能性を広げ、自信を持って学び続けることができるように、教育内容を洗練させています。保護者の皆さまと共に、生徒の皆さまの素晴らしい未来を築いていくことを楽しみにしています。