夏休みが過ぎましたが、まだまだ日中や夜は暑い日が続いています。受験生のみなさんは、普段の授業や課題に加えて過去問や模試の受験、復習と忙しい日々を過ごしていると思います。
さて、2023年度の駒場東邦中の大問3では、サメに関する問題が出題されました。駒場東邦中では、生物の細かな知識が出題されます。一見難しいように見える問題が多いですが、大変興味深く面白い問題の出題が多いです。
今回の問題はサメの骨格の化石がほとんど見つからない理由を答える問題です。サメが軟骨魚類であることを考えると、堅い歯とあごの骨以外は化石になりにくいと判断できます。実際にサメの化石は歯がついたあご以外のものはほとんど見つかっていません。
軟骨魚類とは骨が柔らかい軟骨でできている魚類の仲間で、サメやエイなどがこの仲間になります。軟骨とは逆の意味を指す言葉は硬骨と言います。(漢字の通りですね)
もともと魚類は軟骨魚類から硬骨魚類へと進化し、サメなどは軟骨魚類のまま(骨のつくりは)進化しなかったと言われていますが、顎を持つすべての動物の祖先はもともと硬骨であるため、サメやエイ仲間は深海の捕食のためなどに硬骨から軟骨へと進化したと言われています。このように進化の説が複数あるのも軟骨魚類であるため化石がほとんど見つからないことが原因であると言えます。
軟骨魚類には独特の体のつくりが見られます。今回はこの独特の体のつくりをいくつか紹介します。
まず、噴水孔です。眼の後方に穴が空いており、海底に住んでいるサメやエイの仲間はここから呼吸のための水を取り入れます。口から水を取り入れると海底の砂を同時に吸い込んでしまうため、噴水孔があることで砂と混ざること無く水を取り入れることができます。
次にロレンチーニ器官です。鼻先の孔の奥にある器官で、ゼリー状の物質がつまっています。これにより微弱な電流を感知することができ、光の届かない深海や海底の砂の中の動物を探し出して捕食することができます。
最後は浮力の調節の仕方です。硬骨魚類は前後の浮き袋の空気の量を調節することで体を浮き沈みさせています。軟骨魚類の仲間には浮き袋がありません。代わりに肝臓に水より密度の小さい油を蓄積することで浮力の調節をしています。
普段何気なく見ている、聞いているサメですが、実は興味深い体のつくりをしているのですね。
受験生のみなさん、これまで学んだことはもちろんですが、ここから学んだこと、聞いたこと、知ったことは、もれぬかりなくしっかりと身につけ、自分の知恵としていきましょう。これらの蓄積により、筑駒・御三家・駒東中に合格するための力を伸ばすことができます。
頑張れ!受験生!