こんにちは。大宮校の宮下です。
今回は、『六十三減算』を紹介します。
西暦1743年に出版された【勘者御伽雙紙】は、上中下の3巻からなる算数や数学の問題とその解説を載せた本です。
(国会図書館のデジタルライブラリーで実物を閲覧できます。https://dl.ndl.go.jp/で【勘者御伽双紙】と検索。)
その上巻の目録の二十一に「又六十三減乃事」という問題があります。
「たとえば七ずつ引くときは三余り、九ずつ引くときは五余るといふとき、答総数五十九」
とあり、算数の問題としての表記にすると「7で割ると3余り、9で割ると5余る整数の中で最小のものを求めなさい。」となります。
この問題を次のように考えて答えを導いています。
この整数を□とすると、
□=7×▽+3 → 9の倍数の内7で割ると1余る数は36なので両辺に36をかけると
→ □×36=252×▽+108
□=9×◇+5 → 7の倍数の内9で割ると1余る数は28なので両辺に28をかけると
→ □×28=252×◇+140
この2つの式をまとめると、
→ □×64=252×(▽+◇)+248
左辺を63で割ると余りは□になるので、(□×64=□×63+□より)
右辺を63で割った余りが□になることがわかるので、(252=63×4より)
→ 248÷63=3余り59 で求める整数は59となる
という考え方です。
もちろんこの問題は、7と9の公倍数に4不足する数なので
63-4=59 と求めたほうが早いと思いますが、余りも不足もそろわない問題では、利用することができます。
例えば、「7で割ると2余り、9で割ると6余る整数の中で最小のものを求めなさい。」であれば、
2×36+6×28=240 240÷63=3余り51 で答えは51になります。
次回は、これをさらに進化させた『百五減算』を紹介します。