「精緻化」による問題 解答編

2016/10/31

エクタス算数科

1週間前にあげた問題の解答編です。
(1)は図形の平行移動に関する標準的な基本問題です。弧が動いた後の面積は,たて4㎝,横6㎝の長方形の面積と等しいので,4×6=24より,24㎝²となります。
(2)は,ともすると(1)と同じように考えて,6×9=54㎝²と答えてしまう問題ですが,そうではありません。点Aの動きを考えてみましょう。Aの直線からの高さは,6㎝よりもやや短くなります。よって,下の図のようになります。
おうぎ形OABが9㎝移動することでできる図形の面積から,下図のあみ目の部分と斜線の部分を除いた部分が,弧ABの動いたあととなります。
おうぎ形OABが9㎝移動することでできる図形の面積は,6×9+6×6×3.14×105/360=86.97(㎝²)
あみ目の部分の面積は,よくある頂角が30度の二等辺三角形の面積なので,6×3÷2=9(㎝²)
斜線部分の面積は,中心角が75度のおうぎ形なので,6×6×3.14×75/360=23.55(㎝²)
よって,86.97-(9+23.55)=54.42(㎝²)
平行移動の学習において,おうぎ形の弧が動いたあとの面積が長方形の面積と等しくなるパターンは,学習したことがある受験生が多いことでしょう。しかし,それが成り立つのは中心角が90度の場合のみです。そこから少しでもずれると,途端に面積を求めるのが難しくなります(多くの場合算数では求めることが出来ません)。動いた後の面積は長方形か長方形+元の図形の面積,というような覚え方をしていると,こういった問題に対処することはできません。今回の問題は「精緻化」と銘打ちましたが,このように細かい条件を変えると,パターンによる解法は通用せず,原則に立ち返って1から考えるということが必要になります。基本パターンの暗記と基本原理の理解は全くの別物です。開成中は伝統的にこの発想による作問をしています。

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