2016年4月14日以降、熊本県では大きな地震が続いています。皆さんもニュースなどで知っていることと思います。日本は自然の豊かな素晴らしい国土を持っていますが、同時に地震や火山、台風など自然災害の多い国ですね。中学入試ではこのような地震や火山、台風などに科学的な目を向けた問題が多く出題されます。中学校の先生方は、入試問題を通して受験生の皆さんに、地震や火山などの仕組みに興味を持って欲しい、あるいはどれくらい興味関心を持っているのか、その仕組みを理解しているのかを問いかけてみたい、という気持ちから出題しています。
では具体的に今年の入試問題を振り返えてみましょう。まず麻布中の問題から見てみましょう。大問4ではヴェーゲナーの大陸移動説から話が始まって、「プレートテクトニクス」という理論の話になり、そこから火山活動の観測方法についての問題へとつながっていきます。途中の問7では日本とハワイが何年後にくっつくのかを計算する問題まで出ていますね。どうですか、皆さんも興味があるのではないでしょうか。ぜひ挑戦をしてみてください。麻布中の先生方も、入試問題を通して「プレートテクトニクス」理論について興味を持って欲しい、理解を深めて欲しいと考えているのだと思います。
続いて女子学院の問題では、2014年に噴火した「御嶽山」をテーマにした問題が出題されていました。「御嶽山」の噴火が「水蒸気爆発」であったことから、その説明を求める問題があり、続いてここ1~2年で起こった火山のニュースに関する文章が3つ出ていて、おおよその位置を答える問題が出ていました。受験勉強として今年のニュースだけを覚えて受験に臨んだ受験生では全問正解は難しいかもしれません。日々のニュースにどれだけ関心を向けることができるのか、その姿勢が問われているとも言えますね。
次に雙葉中では、1923年に起こった「大正関東地震」についての問題が出題されていましたが、問題の内容は知識ではなく地震の被害の原因を、資料をもとに考える問題でした。つまり入試問題を通して、資料を読み解く力を試しているのはもちろんですが、その裏にはやはり理科の先生の「興味を持って欲しい」「もっと知りたいと思って欲しい」という意図がうかがえます。
こういう気持ちは、理科の先生ならではの性質と言ってもいいでしょう。私も授業をしていて、生徒から科学的な質問が出てきたときは本当に嬉しくなります。さらにこちらの説明に対して、追加の質問が出たとき、そしてその質問がとても的を射ているときは嬉しさが倍増します。こういうやりとりが理科の本当の楽しさなのかもしれません。受験生の皆さんは、問題を作った中学校の先生と入試問題を通して、ぜひこういうやりとりを楽しみながら問題を解いてみてください。