中国で2019年12月に新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の発生が報告されて以来、日本各地でも発生が伝えられています。皆さんも感染予防のために手洗い、うがいなどを積極的に行っていると思います。「アルコール消毒」も予防には効果があるといわれていますが、アルコールでなぜ消毒できるのでしょうか。思えば予防接種もアルコールで消毒してから行いますよね。
アルコールには、エチルアルコール(エタノール)、メチルアルコール(メタノール)などがありますが、メタノールはとても危険なもので、普段の生活で使用しているのはエタノールになります。エタノールは、タンパク質を変化させ、細胞膜を壊すので結果的に細胞が死にます。ウイルスは細胞を持たず、細胞に入り込んで増殖していくものなので、細胞をなくすことができれば、自ずとその細胞にあったウイルスもなくなります。これが殺菌の簡単なメカニズムです。
細胞を死なせてしまうエタノールをこわいと思ったかもしれませんが、ヒトは多細胞生物なので、少しの細胞が死んでもヒト自体に悪影響はありません。では、単細胞生物にエタノールをかけるとどうなるでしょうか。過去に「単細胞生物のゾウリムシにうすいエタノール(5%)をかけるとどうなりますか?」という入試問題がありました。
ゾウリムシは単細胞生物(1つの細胞しかない)なので、エタノールで細胞が死ぬとゾウリムシ自体が死んでしまいます。ですから、なるべくエタノールに触れたくないので、ゾウリムシはエタノールにふれる面積を小さくするため、あるものがなくなります。ゾウリムシの図が頭に思い浮かべると、なくなるものわかりますよね。あの周りにある毛(繊毛)です。ちなみに、エタノールが濃くなる(10%位になる)と短時間でほとんどのゾウリムシが死んでしまいます。
このように身近なものに目を向けると、まだまだ皆さんの知らないことが多くあると思います。日頃からいろいろなことに興味を持つことが理科を得意にする第一歩です。皆さんも探してみましょう。