2024年4月9日に皆既日食が観測されました。
といっても、日本ではなく北米(メキシコ、アメリカ、カナダ。現地時間で言うと8日午後)でのできごとです。
皆既日食は頻繁に起こるものではなく、かつ時間も短いので、いろいろな分野の科学者たちがこれを楽しみにしています。
例えば、ある研究チームは「皆既日食が起きているとき野生の動物はどのような行動をするか」を調べようと準備していて、結果、前回の皆既日食のときと同様に「キリン、ゴリラ、リクガメなど種類の異なる複数の動物が寝場所に帰って行く様子」が観察されました。「今後はめったに起きない自然現象をどのように動物たちが認識しているか解明したい」と、その研究チームは言っています。
一方、現在の太陽は「極大期」に近づいています。極大期とは太陽フレア等の活動が極大になる時期で、平均すると11年ごとに起こるとされています。前回の極大期は2014年とされているので、その11年後の2025年が極大期とされています。今回の皆既日食でも、太陽表面から立ち上がったプロミネンスがしっかり見えており、極大期にさしかかりつつあることを実感できました。
実は、私たちの生活にも影響があるのです。
太陽極大期になると、太陽から多くのX線やガンマ線、高エネルギー荷電粒子が発生し、地球に到達すると通信障害や停電が起きる可能性があります。これは困りますね。
また、普段は緯度の高い地域でしか見られないオーロラが、日本でいうと北海道でも見られるようになります。
オーロラの色といえば青や緑ですが、この「低緯度オーロラ」はなんと赤色に見えます。
ここまで「地球での皆既日食」についてお話ししましたが、それでは皆既日食時に宇宙から地球を見るとどのように見えるでしょうか?
国際宇宙ステーション(ISS)から見た地球に落ちた影の写真がSNSにアップされていますので興味がある方は検索してください。
このように太陽に関する現象や活動によって、地球上ではいろいろなことが起こります。
中学入試においても皆既日食が起こった年や太陽極大期の時期になると太陽に関しての問題が出題され、「皆既日食」はもちろん、「太陽フレア」「オーロラ」「プロミネンス」等の用語を答えさせることがあります。
今回の皆既日食は日本で見られないので関係ないと思わず、日頃のできごとを地球規模で考えてみると面白いでしょう。