本屋大賞という賞をご存知でしょうか。作家や文学者は選考に加わらず、新刊を扱う全国の書店員の方の投票によってノミネート作、受賞作を決定する賞です。全国の書店員さんが、もっとも読者の方に読んで欲しいと願って選んだ賞、ということになります。
どこの書店でも、もっとも目立つところに置いてあるので、気づかれた方も多いのではないかと思います。
今年の受賞作は三浦しをんさん作の「舟を編む」でした。「舟を編む」とは変わった題名なので印象に残り、興味を持ち、購入し読ませていただきました。
「舟」とは「辞書」のことで、「辞書」作りは「舟」の航海に似ている、多くの船員がそれぞれの役割に徹し、それを船長が束ね、気持ちを一つにして同じ目的地に向かう航海のように、辞書作りも多くの編集者の力を結集して初めて成し遂げられる、根気と執念と折れない心の必要な、壮大な作業であると伝わってくる物語です。
では、自分は何を編んだら良いのだろう、とふと考え、「夢を編む」ということばが心に浮かんできました。
受験生にとっては、第一志望校合格がまずは当面の「夢」にあたりますね。その「夢」の実現に向けて、多くの編集者が厖大な時間と多大な犠牲を乗り越えて理想の辞書の完成に邁進するように、自分の持てる全力を尽くして、「夢」の実現に向けて突き進んでいきたいものです。
毎日猛暑が続きますが、すぐそこにさわやかな秋風が吹く日が来ることを想像できる人は、今日一日が惜しく、いとおしくてならないはずです。
「自分が一番努力した」と思える夏で、きっとありますように。