ここ2年間は、長文大問1題と漢字数題の出題形式でしたが、本年の大問構成は、物語文1題・詩1題・仮名の書き順を問うもの1題 でした。記述の解答欄は、マス目のない1~2行枠が定着しています。要求された内容の本質を、過不足なく端的に表現できることが、合格のための必須要件といえます。
大問1
日高敏隆『”祟り”という思想』より
人間にとって都合の悪い存在を退治し、支配しようとする近視眼的な願望・行動は、当初とは思いもよらぬ悪い結果を招くことがあるので、自然に対する伝統的な畏敬の念を取り戻すべきである。
筆者自身の体験を中心に構成された説明的随筆文です。主張は、複雑なものではありません。丁寧に要点・要旨を追跡し、求められたことがらに正確にこたえれば、合格できます。ただし、その精度を、開成受験者の水準の中で、限りなく高めなければなりません。そこに、本校突破の壁があるといえるでしょう。
●問題構成~難易度:A基本 B標準 C発展 D難
問一 漢字の読み・書き(戸=こ、無関心、存在、除) 難易度:A
問二 筆者の行動を自分で「余計なこと」と表現する理由の記述 難易度:B
問三 自然環境保護を促す「こういう形」と「そういう言い方」の違いの記述 難易度:C
問四 蚊の退治に伴う問題点の記述 難易度:B
問五 自然に対する接し方をどのように考え直すべきかの記述 難易度:D
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A基本 B標準 … 漢字と、文脈の追跡だけで解決できる問題は、8割以上の正答を
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C発展 … 一歩踏み込んだ読解が必要な問題は、6割方の得点を
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D難 … 要旨・主題に関わる問題は、4割方の得点を
これで、必ず合格できます。解答の細部については、先にアップされたものを参照ください。
大問2
まど・みちお『しんじゅのぎょうれつ』(詩)より
孫のおならが、あたかも”しんじゅのぎょうれつ”のように感じられる。普通なら、マナー違反として忌み嫌われるはずのことも、孫への愛情故に美化してしまう祖父の気持ち。
擬人表現の底流にある、祖父の限りない孫への愛情を読み取れるか否かが、勝負を分けます。
●問題構成~難易度:A基本 B標準 C発展 D難
問一 おならが「きょうしゅく」するという表現のおもしろさの記述 難易度:C
※ 「擬人法」の主旨を記述ができることが、合格最低ラインですね。「普段は忌み嫌われているので、いざ、ほめられると恐縮してしまう」と、心情の内実に踏み込んで書けば、差をつけることができます。
問二 「しんじゅのぎょうれつ」にこめられた「じいちゃん」の気持ちの記述 難易度:C
※ ”おならの美化→孫自身を大切に思う気持ち”と、連想できることが、合格最低ラインだといえます。
大問3
「や」「ら」「ヲ」の書き順。実際、ここで若干の失敗をしても、多くの場合、合否の大勢に影響しないともいえます。しかし、正答であるにこしたことはありません。次年度以降の受験生のみなさんにおかれては、普段、週間学習として行っている漢字・知識単元を、これまで以上に丁寧にやりこむ意識を持ってください。