アルキメデスは古代ギリシャの大数学者ですね。お風呂で大発見をして裸のまま外へ飛び出した話は有名ですが、ぼくは一刻も早く家へ帰って発見を書き付けるなり検証するなりしたかったのだろうと思っていたのですが、どうも違ったようです。日本の大数学者、岡潔はこのように語っています。
〈歴史的に見て、発見の喜びの最も徹底した形であらわれているのはアルキメデスである。彼が「わかった」と叫んで裸で風呂を飛び出し、走って帰ったのは、決して発見が本当かどうかを調べるためではない。発見の正しさに疑いなど持つ余地は全然なく、ただうれしさのあまりこおどりしていたのに違いない。〉(『春宵十話』「発見の鋭い喜び」)