2023年麻布中 国語の入試問題を紹介します。

2023/9/15

エクタス国語科より麻布中

試験時間60分 満点60点
物語文1題 文字数約9500字 13問
解答形式 記述1~4行の枠 字数制限なし 記号3問

物語文 出典は寺地はるな『タイムマシンに乗れないぼくたち』2022年2月初版からの出題でした。

両親が離婚し、母とともに祖母のマンションで暮らすことになった十二歳の草児(そうじ)は、新しい街にも祖母にもなじめず、手紙のやりとりの約束をした父からも連絡がありません。小学校では、友達との関係もうまくいきませんでした。同じように博物館で現実逃避をしている男と出会い交流したことをきっかけに、少しずつ周囲との関係を深め、孤独を解消していきます。家族と外食したレストランにあの男を見かけますが、男は微笑み首を振り、草児は声をかけずに、ただ幸せを願うのでした。

問4では、教室において「食べる側」とはどのような人たちか説明します。問5では、草児が味がぜんぜんわからなくなっているのは、家や学校でどのような状況にあるからか説明します。問8では、草児が特にエディアカラ紀という時代に、興味があるのはなぜか説明します。問13(1)コーラがしっかりと甘かったことが草児をさらに笑わせるのはなぜか説明します。

草児は、多様なクラスメイトの中で力関係が生まれている学校において、その環境になじめず、食べ物の味がぜんぜんわからなくなるほど、孤独の中でむなしさを感じながら、うるおいのない日々を過ごしていました。だからこそ、さまざまな生物がいながら獲物をおそうことをせず、食べたり食べられたりする関係のなかったエディアカラ紀のように、周りに振り回されずおだやかに生きられる世界にあこがれ、つらい現実から逃避できる博物館に通っていたのですね。季節は流れ、草児と同じ恐竜好きの友達ができます。友達ができ、家族で外食をするようになった今、草児の孤独感はうすらぎ、自分の居場所や存在意義を確認できるようになります。そのため、生きづらさを感じている男の日常も慮れるようになり、コーラの甘さ、味覚が戻ってきたのですね。

以上、お読みいただきありがとうございました。今後もさまざまな国語文章に触れ、学習に取り組んでいきましょう。(佐藤)

関連記事related posts

エクタス国語科より

読書と会話

  受験生にとって天王山とも言うべき夏が終わりました。今年は雨の日が多く、夏らしい日がほとんどないまま9月を迎えましたね。みなさんの夏休みの成果はいかがでしたか。 順調にこなせた人もそうでない人も、ここで気持ち…

エクタス国語科より知って得するマメ知識

冬のことば 

  12月に入り、しだいに寒くなってきました。 先日12月7日は二十四節気でいう「大雪」でした。 雪が激しく降り始めるころ。『暦便覧』では「雪いよいよ降り重ねる折からなれば也」と説明されています。  …

エクタス国語科より武蔵中筑駒

『発想を広げる』

皆さんはニュースや新聞にどれだけ目を通しているでしょうか?日々、世界中のいろいろな場所で様々な出来事が起きていることは言うまでもありません。一昔前なら、新聞やテレビのニュースくらいしか知る手段はありませんでしたが、今はイ…

新着記事latest posts

2024/7/18

エクタス理科より

知っていることの「逆」を考えてみよう -part1-

今年、2024年は6月から暑い日が続き、25日は、東京で観測史上最も早い猛暑日となりました。小学校では6月中旬にプール開きをしたものの、気温が高すぎるためにプールに入れないこともあったそうです。 ところで、プールに入って…

エクタス理科より

2024/7/16

お知らせ

渋谷校が移転開校します

9/1(日)より、エクタス渋谷校がリニューアルオープンします。 渋谷駅新南改札から徒歩3分、渋谷サクラステージの向かいにあるビルの5階です。 新しい渋谷校にはグループ指導教室が4教室。どの教室も12名程度のコンパクトなつ…

お知らせ

2024/7/12

お知らせ

2024年度後期講座【申込受付中】

エクタスの2024年度後期講座の申込を受付中です。エクタスにお通いでない方も、各講座のページよりお問い合わせ・お申し込みいただけます。詳しくは、各講座のページをご確認ください。 【小6対象】筑駒・御三家・駒東 最難関スー…

お知らせ

pagetop