試験時間60分 満点60点
物語文1題 文字数約9500字 13問
解答形式 記述1~4行の枠 字数制限なし 記号3問
物語文 出典は寺地はるな『タイムマシンに乗れないぼくたち』2022年2月初版からの出題でした。
両親が離婚し、母とともに祖母のマンションで暮らすことになった十二歳の草児(そうじ)は、新しい街にも祖母にもなじめず、手紙のやりとりの約束をした父からも連絡がありません。小学校では、友達との関係もうまくいきませんでした。同じように博物館で現実逃避をしている男と出会い交流したことをきっかけに、少しずつ周囲との関係を深め、孤独を解消していきます。家族と外食したレストランにあの男を見かけますが、男は微笑み首を振り、草児は声をかけずに、ただ幸せを願うのでした。
問4では、教室において「食べる側」とはどのような人たちか説明します。問5では、草児が味がぜんぜんわからなくなっているのは、家や学校でどのような状況にあるからか説明します。問8では、草児が特にエディアカラ紀という時代に、興味があるのはなぜか説明します。問13(1)コーラがしっかりと甘かったことが草児をさらに笑わせるのはなぜか説明します。
草児は、多様なクラスメイトの中で力関係が生まれている学校において、その環境になじめず、食べ物の味がぜんぜんわからなくなるほど、孤独の中でむなしさを感じながら、うるおいのない日々を過ごしていました。だからこそ、さまざまな生物がいながら獲物をおそうことをせず、食べたり食べられたりする関係のなかったエディアカラ紀のように、周りに振り回されずおだやかに生きられる世界にあこがれ、つらい現実から逃避できる博物館に通っていたのですね。季節は流れ、草児と同じ恐竜好きの友達ができます。友達ができ、家族で外食をするようになった今、草児の孤独感はうすらぎ、自分の居場所や存在意義を確認できるようになります。そのため、生きづらさを感じている男の日常も慮れるようになり、コーラの甘さ、味覚が戻ってきたのですね。
以上、お読みいただきありがとうございました。今後もさまざまな国語文章に触れ、学習に取り組んでいきましょう。(佐藤)