麻布中の理科の入試問題より

2019/9/18

エクタス理科より麻布中

大変暑かった夏が過ぎ…まだ暑いですが、少し涼しくなったと感じている日々です。昔から東京は「秋が無い」と言われることがあります。夏に猛威を奮った高気圧がなかなか弱まらず、弱まるころには冬の入り口を迎えている…ということがよくあります。受験生のみなさん、体調管理には気を付けて下さいね。

さて、今年の麻布の大問1では動物の卵に関する問題が出題されました。一般的に魚類などのように卵を産んだ後、放置をする動物の卵の数は多いですね。これはたくさんの卵を産むことで、親まで成長できる確率が低かったとしても数匹は生き残ることができるからです。逆に鳥類やほ乳類などのように産んだ卵や生んだ子を大人になるまで親が育てる動物は少ない数の卵や子をうみます。子供の数が少なくても、親になる確率が高いので死ぬ確率が低いということです。

「じゃあ子供を育てる動物がたくさん卵を産めばもっと良いのでは?」

と考える人もいると思います。しかしこれは違いますね。たくさん卵を産んで、そのすべてが親まで育ち、また卵を産んで…を繰り返すと、その動物の数が爆発的に増えてしまいます。そうするとエサ、巣、ニッチ(生活する空間を指します)がその動物であふれかえり、更には病気などが流行り…、数が増えすぎることも良くないのです。人間が介入しない自然界では一時的に動植物が増えたり減ったりしても年月とともにもとに戻り、動植物の数がほぼ一定に保たれるようになっているのです。
今回は問題で「卵の数が多いとどんな利点がありますか?」という問題と、「卵の大きさが大きいとどんな利点がありますか?」という問題が問われました。
前者は書いた通りです。生き残る数が増えます。
では後者はどうでしょう?

みなさんのよく知っている動物で、卵の大きさが大きいものを想像できますか?

サケです。
イクラはサケの卵ですね。カズノコ(ニシンの卵、正確には卵巣です)、タラコ(タラの卵、正確には卵巣です)、トビコ(トビウオの卵)などと比べると、サケの卵はとても大きいですね。
ではなぜサケは大きな卵を産むのでしょうか。
卵が大きいと良い点があるわけですが、当然悪い点もあります。
メスのサケのお腹の容積には限界があります。卵が大きいとお腹に入る卵の数が減ってしまいます。魚類は親になれる確率が低いのでたくさん卵を産むのに、サケは少ない(…と言っても他の動物よりは多いですよ)卵を産むことを選びました。
ではどんな良い点があるのでしょうか。

その前に、サケの産卵について説明します。
成熟したサケは自分が生まれた川のにおいを頼りに自分が生まれた川までさかのぼります。そして自分が生まれた場所にたどり着くと卵を産みます。卵を産むときに、メスが産んだ卵にオスが精子をかけます。その後、オスとメスは尾びれを使って卵を川底の石の下に隠します。そしてその2か月後、卵から稚魚が孵化します。卵が大きいので中の稚魚が育つのに2か月かかります。そしてその後更に2か月~3か月の間産まれた場所で腹の栄養(卵黄)や流れてきたエサを食べながら成長します。その後ある程度大きくなった状態でようやく海に向かって泳いで行くのです…といっても川の上流から海へ下るので川の流れを最大限に利用します。
サケの両親は卵を産んだ後その場を離れず、その場で一生を終えます。
なぜその場を離れないのでしょう。
サケの両親の死がいを求め、様々な小さな生物が集まり、更にその小さな生物を食べる生物が集まり…最終的にその水場はエサが豊富になります。これを稚魚が食べて育ちます。間接的にですが両親の体が稚魚が育つための栄養になるということです。

さて、卵が大きいことの良い点はわかりましたか?
正解は卵が大きいということは産まれてくる子が大きい、大きい子は他の動物に食べられにくいということです。
サケが数ではなく卵の大きさを選んだのは、大きな卵から産まれる大きな子を、さらにある程度大きく育てて敵に食べられにくい状態にした状態で川を下らせるためだったのですね。

「どうして?」と思う気持ちを持ち続けることで、自分の第一志望校合格に一歩近づけるかもしれません。
身のまわりにあるものに興味、関心を持ち続けて下さい。

頑張れ!受験生!

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