先日、眞鍋淑郎さんがノーベル物理学賞を受賞しました。
受賞理由は、50年以上前に「大気海洋結合モデル」をつくったことで、これは現代の気候研究の基礎となったとされています。
「大気海洋結合モデル」とは、簡単に言うと、数か月の気候変動を考えるとき、大気と海洋がそれぞれ影響を及ぼすので、大気の循環と海洋の循環とを結びつけて予測するシステムのことです。
有名なもので言うと、エルニーニョ現象やラニーニャ現象により、日本の周辺の気候が影響を受けるということも「大気海洋結合モデル」の1つの例になります。
また、二酸化炭素濃度が上昇すると気温が上昇して、地球環境に大きな影響を及ぼす、いわゆる「地球温暖化」を予測し、それを発表したことでも高い評価を得ています。眞鍋さんの地球温暖化の予測がもう少し遅かったら、地球はもっとひどい状態になっていたという科学者もいるくらいです。
2007年、アメリカ元副大統領のゴアさんたちが、気候変化についての知識を世界に広め、その変化を止めるための対策を講じたことでノーベル平和賞が授与されたときも、この眞鍋さんの「大気海洋結合モデル」が元になっています。そして、その翌年2008年の麻布中で出題されています。
今回の眞鍋さんの研究は、今となってはとても身近な内容で、SDGsへの(持続可能な開発目標)も話題になっていますね。かけがえのない地球を守って行くことへの関心が高まっており、今後しばらく中学入試でも出題されやすいテーマになることでしょう。
ちなみに、2014年にノーベル物理学賞を授与された研究を覚えていますか?日本出身者3名が、省電力の白色光源を実現可能にした「青色発光ダイオード」の発明です。これも地球温暖化防止に貢献しています。「省電力」ということは、使う電気エネルギーが少ないという意味なので、火力発電を用いている国においては、二酸化炭素減少になりますね。
このように、ノーベル賞というテーマの中でも、相互に関連があることが見えてきます。
中学入試の勉強は、覚えなければならないことの量も多いので、つらいと感じるときもあるかと思います。しかし、それぞれの関連性(つながり)や、社会にどのように役立っていくのかを考えてみると、楽しく意味のあることだと実感できるかもしれません。