写真作品のメッセージは、技術や常識をこえた日常の暮らしの気づきやこだわりによるアイデアから生まれることを語った大問1(林ナツミ『じぶんの学びの見つけ方』)。櫛挽職人である父の積年の技量に感嘆し、尊崇の念を深めるほど、嫁ぎ、愛する家業と離れねばならぬ無念さをかみしめる娘の姿を描いた大問2(木内昇『櫛挽道守』)。以上2つの大問で構成されています。
大問1~筆者の経験・気持ちについての記述4題、慣用句2題。
大問2~漢字5題、心情記述3題、表現の意味説明1題。
本文は、大問1がB4・1枚分。大問2は、B4・2枚分。
記述は、いずれも80~200字程度。
長文読解記述の体裁は、定着しています。
大問1…問3「やり遂げる」「一生懸命やる」ことをよしとする固定観念が、写真芸術家にとってコンプレックスを助長する足枷になりかねない主旨を説明するもの。高度な理解を要求します。
大問2…問3・問5~娘・登瀬の「驚き」「安堵」「涙」の根拠を問うもの。登瀬が櫛挽を目指していたことや、畏敬の対象であった父が座を譲ってくれる、その温かい愛情を受けとめた点、また、嫁ぎ、櫛挽と離れねばならぬ境遇を悲しんでいる心情・・・これらを総合的に読解できないと、適切な記述に辿り着けません。
重厚な内容について、息つく間もなく正確に読解し、書ききらねばならない桜蔭中の基本的な出題コンセプトは、本年も健在であり、就中、上記のような一部の難易度の高い問題に対処できるかどうかが、勝負を分けるでしょう。
次年度以降の受験生のみなさんは、心して臨んでください。