前回のブログで案内をした通り、2014年10月8日には日本全国で皆既月食が見られます。2014年は1年で2回皆既月食が見られる、という珍しい年ですが、4月15日には限られた地域でしか観測できませんでした。
月食は太陽、地球、月の順に並んだ満月のときに見られます。しかし、満月の時に毎回月食を観測できるわけではありません。2012年の金環日食のブログで、毎回の新月の時に日食が起こらない理由を説明しました。これは地球の公転面と月の公転面のずれによるものでしたね。月食が満月の度に毎回起こらない理由も同じです。公転面の傾きから、夜空を移動する太陽の通り道(黄道)に対して月の通り道(白道)が傾いているため、毎回月食にはならないのです。普段の満月は、地球の影の南か北を通過していることになります。
今「影」と書きましたが、月は自ら光り輝いているのではなく、太陽の光を反射して光っています。太陽の反対側に地球による影ができ、この影の中に月が入り込むことで月の一部が欠けたように見えたり、月が暗くなって見えたりすることを月食といいます。地球の影の部分はまったく光が届かずに暗くなっているわけではなく、曲がりにくい赤い光が大気によって屈折され、弱まりながら集まっています。弱い赤い光がありますから、月食の時の月は赤黒く見えることになります。ちなみに、皆既月食の時の月の色はいつも同じではなく、大気中のチリの量により変化します。チリが少ないと赤い光が通りやすくなるので明るめの橙色、チリが多いと赤い光が通りにくくなるので暗い赤黒い色になります。
また、太陽の反対側にできる地球の影は2種類あります。完全に太陽にさえぎられる「本影」と、本影のまわりにあるうすい影である「半影」です。月がどちらに入っているかによって月食の呼び方は変化します。
本影のまわりに半影がありますので、まず月は半影に入り込みます。このことを半影食といいます。しかし、半影は大変うすい影であるため、肉眼でははっきりと影の様子が観察できません。次に月は本影に入り込みます。今度は欠けている部分がはっきりと見えますね。このことを本影食といいます。本影食のうち、月の一部が本影に入りかけていることが部分月食、本影に月がすべて入りこんだことを皆既月食といいます。まとめると、月が出ている状態から、満月→(半影食→本影食)「部分月食→皆既月食→部分月食」(→半影食)→満月と見え方が変化することがわかります。
月の欠け方にも注目しましょう。地球の影に月は反時計回りに入り込んできますので、月は左から欠け、すべて欠けた状態から左側から見え始めることになりますね。また、月と比べると地球の影は大きいですから、欠ける部分の影と月の境界線が直線に近い形になります。
また、今回の皆既月食では天王星が見られる可能性があります。天王星は約6等級であるため、暗くてなかなか見られることはありませんが、今回は皆既月食が起きている月の近くにありますから、双眼鏡などを使って天王星を探してみましょう。
受験勉強の合間に夜空を見上げて学習への英気を養って下さい。